はじめに
昨今、テレビなどで頻繁に生成AIのニュースが報道されています。この記事の読者であるフリーランスの皆様は生成AIの出現により、

①生成AIによりフリーランスの仕事を効率化できるのか
⓶生成AIはフリーランスの仕事を奪うのか
などの疑問を持たれている方も多いと思います。この記事では、そのような疑問についての分析をしていきたいと思います。
第1章では大前提である「生成AIがもたらす第4次産業革命」について定義づけをしていきます。
1―1 生成AIがもたらす第4次産業革命
第4次産業革命とは、一般的にはコアになる技術革新、すなわちIoTやAI(人工知能)などを用いることで起こる製造業の技術革新のことです。

まず、IoTとはInternet of Thingsの略称です。日本語でモノのインターネットのことを指します。身の回りのあらゆるモノをインターネットに接続することで、ネットワーク上でクラウドやサーバと接続して相互に情報交換を可能な状況にすることです。これによって何が生じるのかというと情報交換が相互に可能になり、より多くのデータを管理分析できるようになります。その結果、人工知能(AI )を搭載したコンピューターが自分で判断し動くシステムが確立でき、質の高いサービスを提供できるようになります。
次にAI(人工知能)とは、学んだり考えたりする能力やビッグデータをコンピューターやロボットに与えることで、問題解決や提案や意思決定など行えるようにすることです。
これらの2つの技術革新を取り入れることで、AIを搭載したコンピューターやロボットが自己判断をして働くシステムが出来上がり、その結果あらゆる分野でのコンピューター化・デジタル化が推進されていきます。このように、コンピューター化・デジタル化が進むと、AIによる業務の効率化が進み、コスト削減、生産性の向上、より品質の高い商品の提供などにつながっていきます。また、このコンピューター化・デジタル化はロボットを適切に動かすことにより、人間を重労働から解放して労働時間の短縮や労働環境の改善にも効果をもたらします。
参考出典
第4次産業革命って何?わかりやすく解説! | コエテコキャンパス
第2章では、生成AIよる業務の自動化の例と、生成AI時代における働き方の変化について見ていきたいと思います。
2―1 業務の自動化
生成AIが業務の自動化でできることは下記のとおりです。
イラスト&デザイン&画像作成機能
プロンプト入力するだけで、例えばBOYと入力するだけで何万枚ものBOYの画像の中から生成AIが選出した画像が作成されます。
文字起こし機能
生成AIの音声認識機能で音声を文字に変換するツールのことです。今まで録音機械を使用して人間の耳を使い文字を書き起こしていたのを、生成AIが自動筆記してくれます。主にインタビュー取材やビジネスの会議の議事録作成に役立つツールになっています。
データ分析
データ分析は、データ解析とも言います。大量のデータから有益な情報を見つけ出し、データを整理・解析してモデル化するプロセスのことです。具体的には統計学、コンピューターサイエンス、数学などの手法やツールを活用してトレンドやパターンを見つけるプロセスのことです。
参考出典 https://data-viz-lab.com/
動画作成機能
人工知能(AI)を使用して画像を自動的に生成または編集する機能のことです。具体的にはプロンプト入力(テキストやアイデアを入力)するだけで自動的に動画を作成する機能のことです。
文章作成機能
文章作成機能は別名AIライティングツールとも言います。具体的には作りたい文章の詳細をプロンプト入力するだけで、文章を執筆してくれます。ただ、生成AIが多くのコンテンツを機械学習するので、ハルシネーション(虚偽または誤解を招く情報を事実かのように、生成AIが提示する現象)もあるので、人間による最終チェックが必要不可欠になります。
参考出典
プログラム・コード作成機能

コード生成AIがプログラミングやコード作成をしてくれます。具体的にはゼロからコードを生成したり、既存のコードの補完を自動で行ったり、修正案の提出、バグの検出なども行う機能です。人間がプロンプトした内容に基づきAIアルゴリズムを使用してソースコードを自動的に生成してくれます。
参考出典
音声作成機能
AIによるボイスチェンジャー機能、声のクローン作成機能、テキスト読み上げ機能、声のピッチなど変更するカスタマイズ機能があります。
参考出典
ここまで、生成AIよる業務の自動化の例をみてきました。業務が自動化できる場合、生成AIが作ったデータに人間がコアの部分を付け足していくことで、今までにないスピードで仕事を処理していくことができます。これは会社員だけではなくフリーランスのお仕事でも同じことが言えます。我々働き手がAIを有効に活用していくために、AIについて学習していくことが重要にはなります。
2-2 働き方の変化
それでは生成AI時代の到来で、フリーランスだけではなく、私たち全ての労働者の働き方に何か変化は起きるのでしょうか。この章で詳しく見ていきます。
まず、生成AI時代には生成AIによるタレントマネジメントが導入されていく傾向があると言えるでしょう。ここで言うタレントマネジメントとは、社員の経験値・スキル・能力を可視化して適切な人材配置に役立てる管理方法のことを指します。個々人の持つスキルなどが可視化できるため、企業としてもプロジェクトを組む際に、効率的な人材配置を行えるのです。ですので、企業により必要とされる人材になるためには、高いレベルの専門知識を獲得する努力が必要だと考えられます。このタレントマネジメントのシステムが導入されると、正社員として1つの企業で働くという考えが変わっていく可能性があります。個々人が有している能力(タレント)でプロジェクトに参加するので「オフィス」に出勤するのではなく、リモートワークで対応できるのです。つまり、能力(タレント)さえ有していれば日本全国どこに住んでいてもプロジェクトに参加できます。一方、企業としても多種多様な能力(タレント)を選ぶことができるので導入する価値はあると言えます。ただし、企業がこの多種多様な人材を全員正社員で抱えるのは予算上難しいので、自営型のフリーランス契約を行っていく傾向が出てくるでしょう。このような変化は労働者側にも、時間や場所を選ばずに勤務ができるのでメリットがあります。
生成AIの誕生により働き方がオフィス勤務ではなく、プロジェクト型のフリーランス契約になっていくのであれば、労働者を守る労働法の改正も必要となってくるので、これからの国の施策の動向にも注意が必要です。
参考出典:
第3章では、生成AIによる新たなビジネスチャンス、プロンプトエンジニアの出現、AIに奪われる仕事、AIが奪いにくい仕事についてみていきたいと思います。
3-1 生成AIによる医療分野での革新

生成AIの医療分野での活用の事例を下記に箇条書きをしていきます。
・AIに組み込まれているビッグデータによる診断サポートができます。
・CTやMRIの撮影データをプロンプトして臓器や骨の3Dモデルを作成したり、身体への負担を考えX線の量を低くして撮影した画像を高品質なものへと生成すること、これにより最適な手術計画を立てることができます。
・ウェアラブルデバイスでカロリー消費や心拍数の自動測定ができます。
・遠隔医療サービスアプリを活用して自宅にいながら医師の診断が受けられます。
・健康管理アプリで食事の摂取カロリー、運動量の記録などを通じて日常から健康に気を付けることができます。
・生成AIを活用して診療記録の自動生成を実行することにより、医師の作業時間が削減され効率化を図ることができます。
・生成AIによる多角的な診断支援システムが、医者の診断を支援することができます。
以上のような生成AIによる技術は、患者ケアの質(QOL)を向上させ、医療コストや開発コストを削減し、より広範囲にわたる医療アクセスを可能にします。
参考出典
3-2プロンプトエンジニアの出現
プロンプトエンジニアとは、生成AIが高品質のテキストや画像を生成できるようにメッセージやコマンドを活用して指示を出すエンジニアのことです。別名AIウィスパーラー、AI調教師、AI魔術師とも言われています。
生成AIの技術革新が目覚ましいですが、一方で生成AIによるハルシネーション(存在していな情報や誤った情報を生成してしまう現象)が問題になっています。このハルシネーションを防ぐために、プロンプトエンジニアによるプロンプトが必要になってきます。
もしハルシネーションを防がなければ、どういった問題がでてくるのでしょうか。
例えば、企業活動を行う際に、生成AIが生成した間違った回答を使用することにより、経営に関する決定事項に誤りが起きてしまいます。この間違った決定事項により、最悪企業イメージを損なう可能性もあるといえるでしょう。
このような事態を避けるために、プロンプトエンジニアの存在が不可欠になってきます。
現在アメリカでは、プロンプトエンジニアを雇うために、求人募集で多額の年収を提示している企業が多数あります。一番安値で18万ドル(約2500万円)、最も高い水準では37万5000ドル(約5000万円)といわれています。それだけプロンプトエンジニアの需要が高まっていると言えるでしょう。
参考出典
3-3 東京都葛飾区の生成AI導入例
葛飾区の職員の業務効率化を支援するため、葛飾区独自のデータベースと汎用LLM (Large Language Model(ラージ ランゲージ モデル)すなわち大規模言語モデルを連動させることで、葛飾区の固有情報を踏まえた回答生成を実現させ、職員の業務効率化を支援する取り組みです。具体的には紙の資料で1万ページ分の区の政策や計画、それに条例などの葛飾区独自のデータベースを汎用LLMシステムと連動させたシステムとなっています。
生成AI導入前には、区議会議事録なども膨大な個別資料から目的の資料を探しださなければならなかったのですが、生成AI導入後は目的の資料が一覧表示をされるようになり、大幅な業務時間の短縮につながりました。
また、業務の効率化に向けて、東京都・葛飾区では、区役所の窓口対応にも生成AI(ChatGPT)を活用するための実証実験を開始しました。生成AIにおけるハルシネーションを回避するため、研修を受けた約700人の職員が、生成AIの回答が正しいかどうか確認しながら活用しています。
参考出典
3-4 AIに奪われる仕事、AIが奪いにくい仕事
この章ではAIに奪われる仕事、AIに奪われにくい仕事の2種類についてみていきます。
生成AIの台頭により、パターン化している作業・マニュアル作業の様に、単純かつ反復性の高い作業は現時点でもAIを導入している事例が多数あります。また、そうすることで、企業は生産性の向上、人材不足の解消、人件費の削減などを実現できています。
それでは、この様な生成AIを活用していくと「AIに奪われる職業」とは具体的にどのようなものがあると考えられているのでしょうか。下記に箇条書きしていきます。
・ホテルスタッフ
・調理スタッフ
・通関士業務
・一般事務
・工場勤務者
・薬剤師
・スーパーマーケットの店員
・コンビニの店員
・警備員
・タクシー運転手
・鉄道運転手
・配達員
・銀行員
・コールセンターの業務
・エキストラ
などが挙げられます。
このような傾向、すなわちAIによって仕事がとってかわられる現象は近未来の話ではなく、現在、すでに起こりつつあります。
例を挙げるならば、2023年にはアメリカのハリウッドで脚本家やエキストラを擁護するストライキが行われました。これは、生成AIが脚本を学習して続きを執筆したり、デジタルレプリカ(AIがエキストラ俳優たちの顔と体をスキャンして自由に動かすシステム)を使用するのを防止するものでした。このように脚本やエキストラの演技といった人間が有しているスキルをAIが収奪させないIT関連法、労働法などの整備が、今後必要不可欠となってきています。
それでは逆に、「AIが奪いにくい職業」とはどのようなものでしょうか。
そもそもAIはビッグデータを分析して、最適なアウトプットを出すことはできます。しかしながら、AIが及ばない分野の仕事、すなわち感情労働やクリエイティブな領域でのスキル、人間ならではのスキル(コミュニケーション能力・創造性・協調性)が必要な職業は、AIに仕事を奪われにくいでしょう。その条件に該当するのは以下の職業だと言われています。
・医師、看護師、助産師
・介護職員、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー
・教員
・弁護士
・イベントプランナー
・営業職
・研究者
・コンサルタント
・ゲームクリエーター
・アーティスト
・デザイナー
参考出典

まとめ
この記事では、生成AIによる第4次産業革命とはどのようなものか、生成AIによる仕事の新たなビジネスチャンスなどについてみてきました。フリーランスの方が生成AIを使いこなさせる知識の学習、またはフリーランスの方が元々有している得意分野でのより高度な専門知識を増やしていき、常に生成AIをプロンプトする立場でいることがフリーランスの方が生き残りを図るための最重要事項だと言えるでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。