フリーランスエンジニアとして独立した場合、手取りのお金が増えるケースが多いので、意気揚々とお仕事に励んでいる方も多いでしょう。このように人生がうまくいっているときに注意をすべきは、病気やケガで短期間、もしくは障害を負ってしまい長期間にわたり働けなくなったケースを、念のために想定しておくことです。昔から備えあれば患いなしと言います。そこで今回は「体調を崩したら収入ゼロ?フリーランスが知っておくべき病気・ケガ・休業リスクへの備え」をテーマにして、簡潔に考察していきたいと思います。最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

1.もしフリーランスエンジニアが病気やケガをしたらどうすべきか。

フリーランスエンジニアが、もし病気やケガ、障害などを追ってしまって、頂いている案件をこなせなくなった場合には、収入がゼロになる可能性があります。それは、会社員と違い、傷病手当金(給与の3分の2を最長1年6ケ月受け取ることができる)の制度の対象外だからです。そのため、今回の記事では、病気やケガをする前に、フリーランスエンジニアが自分でかけることができる民間の保険制度や、公的な貸付金制度、フリーランス労災保険などを簡潔に考察していきたいと思います。フリーランスエンジニアの方も、これらの制度を活用することで、病気やケガ、障害を負っても、当面の生活費や病院代金を用意することができるので安心して休職・療養することができます。

参考出典:共済と保険の節税ガイド 協会けんぽ

2.就業不能保険とは

就業不能保険とは、重度の病気やケガにより仕事へ復帰するのが困難になった場合に保険期間満了まで保険金を長期で受け取れる保険商品(生命保険)のことです。具体的には、病気やケガによる長期の就業不能状態が60日以上続く場合に適用される保険商品です。(60日は保険の免責期間)最近では、メンタル面の病気が増えているため、精神疾患も対象になる商品が増えています。1つの保険商品である「就業不能保険」と、「収入保障保険(生命保険)」の特約である「就業不能特約」があります。

〇フコク生命 就業不能保障特約はたらくささえプライム

30歳女性のモデルケース

月額掛け金 8205円(シングルプラン)、10884円(充実プラン)

月額給付金 10万円(シングルプラン)、15万円(充実プラン)

特記事項:保険料は高めですが、短期収入サポート給付金、就業不能給付金、就業不能加算給付金(一時金)、就業不能年金などの手厚い制度があります。

〇東京海上日動あんしん生命 あんしん就業不能保障保険[無配当]

30歳女性のモデルケース(障害・介護型)

月額掛け金 2050円(A型:障害・介護型)、5790円(B型:障害・介護・5疾病型)

月額給付金 10万円

特記事項:障害・介護保険金、5疾病初期入院給付金、5疾病就業不能保険金などの制度があります。

〇チューリッヒ生命 くらすプラスZ

45歳女性のモデルケース

月額掛け金 1330円

月額給付金 短期収入サポート月額給付金5万円

(精神および行動の障害による在宅療養を除き、同月に10日以上入院や在宅療養した場合)

長期収入サポート月額給付金10万円(所定の障害状態になった場合)

〇ライフネット生命 ライフネット生命の就業不能保険

30歳女性のモデルケース

月額掛け金 1545円

月額給付金 10万円

特記事項:就業不能給付金、精神疾患就業不能一時金、入院見舞金(14日以上)、復帰支援一時金などの制度があります。

〇SBI生命 働く人のたより

30歳女性のモデルケース

月額掛け金 1340円

月額給付金 10万円

特記事項:病気やケガだけではなく、精神疾患での就業不能状態となったときにも保障が受けられます。また、保証するリスクを選択することも可能です。具体的には、全疾病型(すべてのけがや病気、精神疾病も含む)、3疾病型(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)、がん保証型の3種類から選択可能です。

参考出典:ヤメレン CASHNOW しっかり保険ちゃんと節約 SBI生命 働く人のたより ライフネット生命 ライフネット生命の就業不能保険 チューリッヒ生命 くらすプラスZ

3.所得補償保険とは

所得補償保険とは、短期間の病気やケガを補償してくれる保険商品(損害保険)のことで、医療機関による医師のドクターストップがかかってから免責期間7日程度、最長2年間、月額報酬の50〜70%が補償されます。特筆すべきは、フリーランスの方は、会社員と違い傷病手当金の対象外ですので、先ほどの就業不能保険と、この所得補償保険の両方に加入しておくと安心です。そうすることで、短期的にも長期的にも保険金が出るため収入が無くなることはないので安心して療養することができます。

〇AIG損保 所得補償保険

30歳のケース(おすすめプラン:地震、噴火、津波危険補償特約セット)

月額掛け金 2280円

月額給付金 20万円

特記事項:所得補償保険金、地震・噴火・津波危険補償特約、入院のみ補償特約があります。

〇あいおいニッセイ同和損保 所得補償保険

30歳のケース(基本職種級別1級)

月額掛け金 1280円

月額給付金 10万円

特記事項:基本補償に「いつでもどこでも補償」「骨髄提供に伴う入院も補償」が含まれます。

〇日新火災 働けないときの保険 

30歳女性のケース(プレミアム)

月額掛け金 2560円

月額給付金 15万円

特記事項:基本補償(所得補償)、傷害による死亡・後遺障害補償特約(オプション)、

三大疾病一時金特約(オプション)の制度があります。

参考出典:ヤメレン CASHNOW 所得補償保険比較 資産防衛の教科書

あいおいニッセイ同和損保 ほけんの窓口 

4. 収入保障保険とは

収入保障保険とは、保険加入者が死亡した場合に、残された遺族が毎月保険金を受け取れる保険商品のことです。死亡保険ですので、一括で受け取れるタイプの保険商品もあります。

また、保険商品によっては、高度障害状態、身体障害状態、要介護状態になった時に「高度障害年金」を受け取れる保険商品もあります。

〇第一ネオ生命 ネオdeしゅうほ

30歳女性のケース(非喫煙者標準体保険料率)

月額掛け金 2172円

月額給付金 10万円

特記事項:主契約の他に、オプションで高度障害収入保障特則、障害介護収入保障特則、特定疾病収入保障特約、保険料払込免除特約などの制度があります。

〇オリックス生命 収入保障保険KeepUp

30歳女性のケース(非喫煙者有料隊保険料率の場合)

月額掛け金 1720円

月額給付金 10万円

特記事項:保険金の受取方法に、年金受取、全部一括受取、一部一括受取、残額一括受取があります。

〇チューリッヒ生命 収入保障保険プラチナ

30歳女性のケース(非喫煙優良体型)

月額掛け金 1200円

月額給付金 10万円

特記事項:保険金の受取方法としては、年金受取、一時金受取、一部一括受取があります。また、特定疾病保険料払込免除特約、短期収入サポート月額給付金、長期収入サポート月額給付金の制度があります。さらには、非喫煙者、血圧が正常値の方は保険料が割引になります。

〇FWD生命 FWD収入保障

30歳女性のケース

月額掛け金 3585円

月額給付金 15万円

〇SOMPOひまわり生命保険 じぶんと家族のお守り

30歳女性のケース

月額掛け金 3800円

月額給付金 20万円

特記事項:遺族年金と高度障害年金があります。

〇はなさく生命 はなさく収入保障

30歳女性のケース(基本プラン)

月額掛け金 5705円

月額給付金 15万円

特記事項:基本プランと障害介護プランがあります。

参考出典:資産防衛の教科書 ほけんの第一歩 価格.com保険 しっかり保険、ちゃんと節約

5.緊急小口資金(社会福祉協議会)——無利子で最大10万円

社会福祉協議会とは、社会福祉法人 全国社会福祉協議会ふれあいネットワークから引用すると、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織のことです。都道府県、市区町ごとに設置されています。

東京都葛飾区の社会福祉法人社会福祉協議会の小口生活資金を例にとります。

一般世帯(2人以上)10万円、単身世帯5万円を連帯保証人1名で、無利子で借りることができます。返済期限は最長 2ヶ月の据置期間を含め、18ヶ月以内で月賦での返済となっています。貸し付け条件としては、葛飾区に3か月以上住んでいること、一時的に生計の維持が困難になった、一定の収入があり、貸付を受けた資金の償還が確実にできることなどが挙げられます。フリーランスでも申請可能な自治体が増えています。この小口生活資金は、給付ではなく、無利子ではありますが貸付金のため、活用するかどうかは良く考えた方が良いです。

参考出典:note  東京都葛飾区の社会福祉法人社会福祉協議会

6.フリーランス労災保険

2024年11月から仕事の内容が労働者に近い働き方をしているフリーランス(個人事業主)のために、労災保険の特別加入制度が設けられました。この特別加入制度が導入されたことで、すべてのフリーランスが労災保険に加入できることになりました。厚生労働省東京労働局によれば、労災保険とは、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度です。

この労災保険に加入することで、7つの給付が受けられます。それは、休業(補償)等給付、介護(補償)等給付、障害(補償)等給付、傷病(補償)等年金、遺族(補償)等給付、療養(補償)等給付、葬祭料等です。

ちなみに、年間保険料3833円(月額掛け金が約319円)で、月額給付金108,500円の補償が受けられます。(業種の危険度によって、保険料率は異なります)

この労災保険に特別加入するためには、社会保険料(労災保険料)の他に、フリーランス労災保険組合などの特別加入団体への費用が掛かります。具体的には、入会金、年会費(月会費)、事務手数料などが掛かります。これらの費用のうち、労災保険料は社会保険控除として確定申告できます。

参考出典:フリーランス労災保険組合 手続きプランナー 厚生労働省東京労働局

7.小規模企業共済の傷病災害時貸付け

傷病災害時貸付けとは、病気やケガにより5日以上入院(退院後の通院を含め5日間)をした時に、医者の診断書で証明できた場合、事業資金を低金利(年0.9%)で借り入れすることができる制度のことです。また、この傷病災害時貸付けは、災害にも対応しています。具体的には、暴風雨等、火災、台風、落雷などの災害時にも事業資金を低金利(年0.9%)で借り入れることができます。申請期限は、病気やケガの場合、入院した日から6か月以内、災害の場合は、災害が発生した日から6か月以内となっていますので注意が必要です。この傷病災害時貸付けは担保や保証人が不要となっています。また、借入金の限度額は、掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、50万円以上1,000万円以内(5万円単位)となっています。こちらも活用する際には、給付金ではなく、貸付金であることに注意が必要となっています。

参考出典:note 共済サポートnavi 中小機構の共済制度

8.そもそも緊急用の貯蓄が必要です。

病気やケガでは働けないケースを想定して、保険加入と貯金をしておくことが重要です。保険はこの記事で考察してきました。一方、貯金は一般的に最低6カ月しておくのが目安となっています。

COCONE 物価・生活費比較によると、東京都内の1人暮らしの1カ月の生活費の目安は、16万円~21万円となっています。ですので、6か月分にすると、96万円~126万円に貯金が必要になっています。その分のお金は貯金しておくことを心がけましょう。

また、くらしの計算機 手取り・税金・暮らしの無料シュミレーターによると、3人暮らしの1カ月の生活費の目安は、28万7千円です。ですので、6か月分にすると、172万2千円です。家族を抱えているフリーランスは、この分の貯金は最低用意をしておく必要があると言えるでしょう。

参考出典:COCONE 物価・生活費比較 くらしの計算機 手取り・税金・暮らしの無料シュミレーター

まとめ

今回の記事では、「体調を崩したら収入ゼロ?フリーランスが知っておくべき病気・ケガ・休業リスクへの備え」というテーマで簡潔に考察してきました。病気やケガで働けなくなった場合を想定して、各種民間保険に加入する、フリーランス労災保険に加入する、公的貸付金を活用する、そもそも6カ月分の貯金をしておくなどして、リスクに対応して人生を過ごしていく必要があると言えるでしょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。