LaravelはPHPのWebフレームワークとして非常に有名です。実際に、数多くのWeb開発案件で使われており、現役のエンジニアであれば、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
しかし、Laravelとは何かと聞かれると具体的な説明ができなかったり、特徴について詳しく触れたことがなかったりする方も少なくありません。また、フリーランスエンジニアの中には、学びやすさや言語の将来性について把握しておきたいという方も多いでしょう。
そこで、今回は、PHPのLaravelについての概要や特徴、開発案件の相場、言語の将来性について詳しく解説しますので、興味のあるフリーランスエンジニアはぜひ参考にしてください。
PHPのWebフレームワーク『Laravel』とは?
Laravelとは、MVCの概念を取り入れたPHPのWebアプリケーションフレームワークです。オープンソースソフトウェアとなっており、無料で利用することができます。2011年にリリースされたWebフレームワークでMicrosoftの.NETの開発メンバー、Taylor Otwell氏によって開発されました。
補足:MVCとは?
MVCとは、Model-View-Controllerの略称で、それぞれの機能によって役割を分担し記述する概念のことです。具体的な内容は下記の通りになります。
頭文字 | 正式名 | 概要 |
M | Model(モデル) | システム設計や機能をどのように設定するのかを決めるためのパーツです。例えば、データベースに接続してデータを取得したり、インターフェースに通知したりするなどの役割を担います。 |
V | View(ビュー) | ユーザーインターフェースの役割を担います。具体的には、データベースから取得した情報を出力するということをViewで行います。 |
C | Controller(コントローラー) | ModelとViewを制御する役割を担います。Modelがデータベースから取得したデータをViewに受け渡すのがControllerです。 |
MVCの概念を採用したフレームワークは、その恩恵を受けられるため、再利用性や開発効率の向上などさまざまなメリットを獲得することができます。そのため、Laravelに限らず多くのプログラミング言語、フレームワークで採用されている概念です。
補足:Webフレームワークとは?
Webフレームワークとは、アプリケーションやシステムの骨組みのことです。簡単に言えば、開発に必要な機能がたくさん詰められたパッケージと考えるとわかりやすいでしょう。
基本的には、開発コストの削減を理由に使われるケースが多いです。また、バグを減らせる、開発ルールが設けられるなどのメリットもあります。
用途がわかる!Laravelの特徴とは?
Laravelの特徴は、下記の5つです。
- 記述量が少なく可読性が高い
- artisanコマンドを使用できる
- 認証機能がほぼ自動化されている
- データ操作が簡単
- ページネーションの設置が容易
早速、それぞれの特徴について詳しく解説します。
bladeにより記述量が少なく可読性も良い
1つ目の特徴は、記述量が少なく可読性が高いという点です。
Laravelには、bladeというテンプレートエンジンがあります。これにより、Viewの中に直接PHPコードを挿入することができるため、非常に魅力的です。
また、@〇〇で処理を記述することができます。例えば、下記のようにViewの中でif文を書くことが可能です。
@if(0)
0
@else
123
@endif
これにより、Laravelを使用しない場合よりもコードが短くなるので、記述量も少なく可読性も高くなります。
artisanコマンドによりコントローラーなどの作成が簡単!
2つ目の特徴は、artisanコマンドを使用することができる点です。
artisanコマンドはLaravel特有のコマンドになります。実際に使用することで、コントローラーやモデル、マイグレーションファイルを簡単に作成することができるため、非常に便利です。例えば、コントローラーを作成するときは、下記のようにコマンドを実行します。
php artisan make:controller Controller Name
artisanコマンドを使用することで作業量を減らすことができるため、開発効率のアップなどを期待することができるでしょう。
ログイン認証を容易に開発できる
3つ目の特徴は、ログイン認証を容易に開発することができる点です。
Laravelでは、下記のような認証機能が自動化されています。
- ログイン・ログアウト機能
- ログイン状態の維持とチェック
- ユーザー登録機能
- パスワードの再設定機能
そのため、簡単にログイン画面を設置できるという特徴を持ちます。主に、会員サイトなどのログイン認証に用いられることが多いです。
Eloquent ORMによりデータベース操作がしやすい
Eloquent ORMという仕組みを採用している点もLaravelの特徴のひとつです。
データベースとModelに関係性を持たせることで柔軟にデータを扱えるようにした仕組みのことになります。これにより、複雑なSQL文を入力しなくても簡単にデータベース操作ができるようになるのです。
例えば、No.10のデータを取得するとき、下記のような記述だけで済ませられます。
$data = User::where(‘no’, 10)->get();
Eloquent ORMは、主にデータベース操作をするときに使われ、簡単に登録・取得・検索を行うことが可能です。
ページネーションの設置が簡単
5つ目の特徴は、ページネーションを簡単に設置することができる点です。
例えば、Eloquentの結果をページネーションとして設置する場合、下記の記述で済ませられます。
$users = User::paginate(15);
Webアプリケーションでは、ユーザーが入力した検索条件から商品一覧を表示することがありますが、その際にはページネーションの設置が必要不可欠です。もし、ページネーションを使用せずに一覧を表示させると大量のデータがある場合、表示に時間がかかったり、ユーザービリティが悪くなったりします。実際に、Laravelを使用せずにこのようなページを作成するとなるとエンジニアの負担は大きくなりがちです。
一方、Laravelは非常に少ないコードでページネーションも容易に設置することができるので、非常に利便性の高いWebフレームワークになります。
初心者でも習得できる?Laravelの学びやすさについて
フリーランスエンジニアの中には、これからLaravelの習得を考えている方もいるのではないでしょうか?
学び始める前に、どのぐらい難しいWebフレームワークなのか気になるという人も少なくないでしょう。
先に結論を言えば、LaravelはWebフレームワークの中でも比較的学びやすい言語です。そこで、この見出しではLaravelが学びやすい理由について詳しく解説しますので、これから習得を検討しているフリーランスエンジニアはぜひ参考にしてください。
理由①「日本語のドキュメントが多い」
Laravelは日本語ドキュメントが多く、学習しやすいWebフレームワークです。
学習する言語を選ぶ際に日本語ドキュメントがしっかりとあるかどうかを確認することは非常に重要といえます。もし、日本語ドキュメントの少ない言語を選択してしまうと英文から仕様を習得しなければならないため、非常に大変です。英語が得意なエンジニアであれば問題ないかもしれません。しかし、英語を読むことができない人も少なくないため、日本語ドキュメントが豊富にあるWebフレームを選択するほうが学習コストは低いです。
日本においてLaravelは非常に有名なWebフレームワークであり、日本語による公式ドキュメントも提供されています。また、QiitaやZenn、個人ブログなどでも実装方法がまとめられており、日本語ドキュメントが豊富なのでDrogonなどと比べて学びやすいといえるでしょう。
理由②「PHPは習得が難しくない言語」
PHPは習得が難しくない言語です。
PHPは、ほかの言語に比べてルールが固くないので柔軟性が高いです。また、環境構築も容易であり、コンパイルも不要になります。
ご紹介している通り、LaravelはPHPのWebフレームワークであるため、習得が難しい言語のWebフレームワークよりも使えるまでに時間がかかりません。そのため、学習コストは高くないといえます。
理由③「ほかの言語にも使われている概念が採用されている」
ほかの言語に採用されている概念が採用されているため、学習しやすいWebフレームワークです。
Laravelは、オブジェクト指向を採用したWebフレームワークですが、オブジェクト指向という概念はほかの言語でも数多く利用されています。具体的に採用している言語は下記の通りです。
- Java
- C++
- C#
- Pythonなど
このような言語を習得している方がLaravelを学べば、概念を理解しているところから学習をスタートさせることができるので、習得にかかる時間を短縮することができるでしょう。
今後Web開発案件に取り組むなら必須!?Laravelの将来性について知ろう!
従来においてPHPのWebフレームワークはCakePHPが主流でした。しかし、2018~2019年頃には、LaravelがPHPの主要Webフレームワークになったのです。この流れを見れば、Laravelの人気が高く、重要度の高いフレームワークということが理解できます。
また、現在はCakePHPの使用率が世界で低下しており、Laravelのシェアが上昇しているため、今後もPHPのWebフレームワークとして使われることが予想されます。そのため、フリーランスエンジニアとしてWeb開発に携わりたい多くの人が覚えておいて損はないWebフレームワークといえるでしょう。
フリーランスエンジニアは知っておきたい!Laravelを使用した開発案件の相場について
Laravelの案件の相場は、月額70万円からです。もちろん、70万円という数字はあくまで相場であり、すべての案件でこのぐらいの金額が設定されているというわけではありません。例えば、実務経験がない人でも応募できる案件は、月額50万円程度で設定されているケースもあります。具体的な金額を知りたい方は、案件の応募ページを見るのがおすすめです。
PHPのLaravelを使った開発現場の体験談
筆者は、以前PHPのWebフレームワーク『Laravel』を使用したプロジェクトにフリーランスとして参加したことがあります。旅行サイトのシステム開発を構築するというものでした。
基本的に現在の開発現場では、プロジェクトを共有してチームで開発することが多いです。Laravelを習得して案件に挑戦したいと考えている方もいるかもしれませんが、LaravelやPHPの知識のみでは対応できない可能性が高くなります。その理由は、開発者同士がソースコードを共有するため、GitHub等を使用するためです。そのため、Gitの仕組みを理解したり、開発プラットフォームに慣れておいたりすることはとても大切であるといえるでしょう。
また、開発現場ではデータベースに関する知識が非常に求められます。例えば、筆者が参加した旅行サイトのシステム開発では、ユーザー情報や宿泊予約の登録、宿泊ページの掲載などデータベースを扱う機会がとても多かったです。Laravelはデータベース操作を簡単に扱えるWebフレームワークですが、開発現場ではデータベース設計などを求められるケースもあります。
筆者自身も実際に開発現場ではデータベースを扱う機会が非常に多かったですが、幸いオークションシステムを開発した経験があったので、大きな抵抗感を感じずにLaravelでもデータベースを扱うことができました。もし、データベースに関する知識がない人は、簡単でもいいので触れておくのがおすすめです。
まとめ
今回は、PHPのWebフレームワーク『Laravel』の概要や特徴、学習コスト、将来性について解説しました。Laravelは非常に有名なWebフレームワークであり、世界中の開発現場で使われているWebフレームワークです。また、将来性も高く今後も継続的に使われることが予想されます。そのため、Web開発に携わりたいフリーランスエンジニアは、この機会に習得を検討してみてはいかがでしょうか?
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