JavaのSpringフレームワークとは?用途や学びやすさ、開発現場の体験談をご紹介
Javaの代表的なフレームワークのひとつにSpringが挙げられます。Webアプリケーションを構築するために使われることが多く、実際の開発現場でも広く採用されているフレームワークです。
非常に有名なフレームワークの一種になりますが、概要について細かく理解できないフリーランスエンジニアもいるのではないでしょうか?また、これから習得したいと考えている人の中には、将来性や単価相場を把握しておきたいという方も少なくないでしょう。
そこで、今回はJavaのSpringフレームワークの概要や特徴、学びやすさ、開発現場の体験談について解説しますので、興味のある方はぜひチェックしてください。
そもそもJavaとは?Springの解説前にチェックしよう!
Javaとは、1995年に登場した汎用プログラミング言語です。オブジェクト指向を採用した言語でMySQLを提供しているオラクル等の登録商標になります。無料でダウンロードできることも特徴のひとつです。
Javaは、オブジェクト指向プログラミングを代表する言語として広く知られています。オブジェクト指向とは、プログラムの役割ごとにクラスを生成し、それぞれの関係性を定義していく考え方のことです。車を例にとれば、フレームやエンジン、タイヤなどのそれぞれのパーツをクラスとして定義し、それぞれの役割を各々のクラスで構築していくイメージになります。このように開発をすることで、プログラムを修正したい部分をピンポイントで触れるため、保守性が向上するのです。
現在、JavaはWebアプリケーションを開発するプログラミング言語として使われることが多くなっています。また、Windowsアプリケーションのプログラミング言語として有名なC#やアンドロイドアプリ開発言語として知られるKotlinなどに影響を与えており、世界を代表するプログラミング言語といえるでしょう。
Javaが使われている代表的なシステムは下記の通りです。
- 生産管理システム
- 顧客管理システム
- 販売管理システム
- 金融機関向けシステムなど
このように、Javaは幅広いシステムで使われているプログラミング言語になります。
JavaのSpringフレームワークとは?
Springとは、Javaの代表的なWebアプリケーションフレームワークのことです。オープンソースソフトウェアとなっており、誰でも無料で利用することができます。はじめてリリースされたのが2004年となっており、比較的歴史が長いです。Javaのフレームワークとして人気があり、現在も多くのプロジェクトで採用されています。
ちなみに、Webアプリケーションフレームワークとは、Webアプリを作るために必要な枠組みのことです。通常、Webアプリを開発するときは、真っ白な状態からスタートします。つまり、枠組みから開発しなければなりません。しかし、フレームワークを使うことで、骨格が作られた状態から開発を進められるため、負担を大幅に和らげることができます。そのため、現在ではJavaに限らずほかの言語でもフレームワークを採用して開発が進められるケースが多いです。
Springの用途がわかる!代表的な4つの特徴
Springの特徴は大まかにわけて下記の4つです。
- AOPを採用している
- クラス同士の依存性が少ない
- テストプログラムを利用できる
- 拡張性に優れている
それぞれの特徴について詳しく解説します。
AOPを採用している
1つ目の特徴は、AOPを採用している点です。
AOPとは、Aspect Oriented Programmingの略称でアスペクト指向プログラミングを意味します。AOPを採用することでプログラムの中にある共通処理を抽出し、一括で管理できるようになるため、利便性が向上します。
わかりやすくAOPを解説するために、例を1つご紹介します。プログラムを書くとき、ログ出力をする機会は少なくありません。ログ出力をすることで処理が正しく行われているかがわかったり、通過した分岐を知ることができたりするので非常に便利です。しかし、ログ出力を行いたいすべての箇所でログ出力の処理を書く必要がある場合、可読性が悪くなります。また、実装に余分な時間を浪費したりしなければなりません。これらの問題を解決するのがAOPです。AOPは共通の処理を抽出して管理することができるため、その都度ログ出力の処理を書く必要がなくなります。
AOPを採用することで具体的には下記のようなメリットを獲得することが可能です。
- 可読性の向上
- 不具合の特定が容易になる
- 保守性に優れている
もちろん、SpringはAOPを採用したJavaフレームワークになるため、AOPが持つメリットをそのまま享受できます。
クラス同士の依存性が少ない
2つ目の特徴は、クラス同士の依存性が少ないことです。
Springは、Dependency Injectionを採用しています。依存性の注入といわれており、Javaだけでなく、C#などのほかの言語でもDIの考え方に触れる機会は少なくありません。簡単にいえば、DIを採用することでクラスの依存性を解消することができます。
学習段階におけるプログラムの作成は、1つのクラスのみだったり、メソッドが少なかったりするため、テスト時に不便さを感じることは少ないです。しかし、一般的なプロジェクトにおいては、クラスやメソッドが膨大にあり、分担して実装しているため、単体テストが難しくなります。
例えば、自身が作成しているクラス内でインスタンスを生成しているクラスが未完成の場合、当然プログラムは動きません。また、クラス自体が未完成でも特定のメソッドだけを単体でテストしたいときがあります。このようなときに、DIを採用しているフレームワークは、クラスの依存性が解消されるため、単体で簡単にテストを行うことができるようになります。これにより、プログラムの実装や修正が簡単になるため、Springが人気を集める理由です。
テストプログラムを利用できる
3つ目の特徴は、Spring MVC Testを利用できることです。
Springには、システム統合した際にバグの検出が可能な専用のテストプログラムがあります。これにより、プログラム全体の一連の処理が正しく行われるかどうかを検証することができたり、事前に確認することでバグを最小限に抑えられたりするため、メリットが大きいです。
拡張性に優れている
4つ目の特徴は、拡張性に優れていることです。
Springは、ほかのフレームワークと比べて拡張に優れています。また、必要な機能を追加することも可能となるため、高性能のWebアプリケーションを構築することができるでしょう。
初心者でも学びやすい?Springが学びやすいといわれる4つの理由
Springフレームワークを使うためには、前提としてHTMLやCSSなどのWebデザインのスキル、統合開発環境『Eclipse』の使い方、データベースに関する知識など、さまざまな知識やスキルが求められます。しかし、Webの知識やJavaを習得している人にとってSpringは学びやすいフレームワークです。なぜ、学びやすいフレームワークなのか解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Javaは学習言語として採用されることも多い
Springは、JavaのWebフレームワークになるため、比較的学びやすいといえます。Javaは学習言語として採用されるケースも多く、プログラミング言語をこれから学ぶ初心者に勧められる言語です。特に、Javaはポインターの概念がなく、初心者にとって難解な部分が少ないため、その点も学びやすい理由となります。
しかし、Javaが簡単に習得できる言語といっているわけではありません。初心者に理解が難しいオブジェクト指向に関する内容も習得しなければなりませんし、インターフェースについても理解しなければなりません。そのため、習得には全力で取り組む必要があるでしょう。
書籍が豊富
Springを解説する書籍が豊富にあるという点も学びやすい理由のひとつです。
昔は、フレームワークに関する書籍は少なく、習得するのに苦労するケースも少なくありませんでした。しかし、現在は書籍が豊富で初心者でも学びやすい環境が整っています。
書店はもちろんのこと、ネットショッピングサイトでもSpringの書籍が揃っているので、これから学び始める方は手に取ってみるのもいいでしょう。
人気が高いためノウハウが充実している
ノウハウが公開されている点も学びやすい理由のひとつです。
Javaは世界的にも人気の高い言語となっており、知名度があるためSpringを使う機会も同時に増えます。また、JavaのWebフレームワークの中でSpringは代表的なフレームワークになるため、ノウハウが蓄積しやすいです。Springを使うエンジニアがWebで情報を公開しているケースも多く、実装で困ったときに調べれば解決策を得られる可能性も高くなります。そのため、学習過程において挫折しづらくなるため、初心者でも学びやすいフレームワークです。
Springを扱うスクールも多い
現在は、プログラミングスクールが充実しているため、その点も学びやすい理由のひとつです。スクールは直接講師が教えてくれるので、独学が苦手な方でも習得しやすくなっています。実際に、Springを扱っているところもあるため、独学が苦手な方は利用するのもひとつの手です。
Springフレームワークの将来性
結論から先にいえば、“Springフレームワークの将来性は非常に高い”です。その理由のひとつに需要の高さが挙げられます。
JavaのWebフレームワークの中でもっとも需要が高いのは、Spring Bootです。そして、その次にSpringフレームワークがランクインしています。Spring BootはSpringフレームワークの一部であり、まったく違うフレームワークではありません。また、Springフレームワークはサーバーサイドにおける需要が高く、フレームワークとして採用されるケースが多いため、将来性は十分に期待することができます。
フリーランスのSpring案件の単価相場について
フリーランスのSpring案件の単価相場は、60~90万円が相場になります。相場は経験や募集職種によって大きく変化することが多いです。
基本的にSpring案件は、Javaの知識に加えてPHPやPythonなどのプログラミング言語、HTMLやCSS、JavaScriptの知識が求められます。また、ASP開発サービスなどサーバーサイドをメインにした開発では、Linuxに関するスキルも必要です。
Spring案件の単価相場は高く、稼げる案件が多くなります。案件の中には90万円を超えるものもあるため、報酬は十分に期待できます。そのため、これから学ぶ方も高いモチベーション挑戦できるのではないでしょうか?
Springフレームワークを使用した実際の開発現場の体験談
筆者は、以前Springフレームワークを使用したクレジットカードシステム開発案件にフリーランスとして携わったことがあります。Javaを用いた開発で、基本設計からテストまでを担当しました。職種はプログラマーとして参加させていただきました。
使用言語は、主にJavaとJavaScriptでした。また、サーバーサイドでの構築となるため、Linuxの知識も必要でした。しかし、筆者はネットショッピングサイトの構築などに携わった経験もあり、Linuxは扱いに慣れていたため、大きな苦労はありませんでした。
実際の開発現場では、ドキュメントの作成や請求処理システムの開発を行いました。もっとも苦労したのは、MySQLとの連携です。Springを利用してJavaからjdbc Template経由でMySQLに接続しようとしたのですが、設定ミスでハマったことを記憶しています。原因は、pom.xmlにMySQL JDBCコネクタとSpring JDBCを追加していないことでした。pom.xmlを修正し、この事案を乗り切ることができました。
常駐の作業となりましたが、中長期的に携われたため、安定した収入を得ることができました。最終的には、無事に納品することができました。新しい経験ができたことやさまざまな優秀なエンジニアと仕事ができたことにとても感謝しています。
まとめ
今回は、JavaのWebフレームワーク『Spring』の概要や特徴、開発現場の体験談についてご紹介しました。SpringはJavaのWebフレームワークの中でも人気があり、フリーランスエンジニアとして活躍し続けたい人は、ぜひ覚えておきたいフレームワークのひとつです。
Springフレームワークを使用した開発案件の単価は比較的高く、十分な収益を獲得することができます。これから幅広い案件に挑戦していきたい方やフリーランスエンジニアとして安定した収益を獲得し続けたいという方は、この機会に習得してみてはいかがでしょうか?