目次
はじめに
いつも咲くキャリ情報局をご愛読いただき、誠にありがとうございます。今回の記事では、1.クラウドコンピューティングとは、2.クラウドコンピューティングのサービスモデル、3.クラウドコンピューティングの種類、4.クラウドコンピューティングのメリット、5.クラウドコンピューティングのデメリット、6.クラウドコンピューティングの3大クラウドサービスについて見ていきたいと思います。最後までお付き合いいただければ幸いです。
Ⅰ.クラウドコンピューティングとは

・定義
クラウドコンピューティングとは、ユーザーに対してインターネットを経由して、情報資源を提供するサービス形態のことです。ここで言う情報資源とは、アプリケーション、データベース、サーバ、ストレージなどのことです。
クラウドサービスの大きな特徴は、従来のオンプレミス(システムを運用するのに必要なサーバ、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク機器を自社で保有して管理していく運用の仕方のこと)のように、自社で設備の準備をしなくても利用できるため、導入コストを大きく抑えられるということです。
また、クラウドサービスを運営しているサービスプロバイダであるベンダー企業がメンテナンスや運用、管理をしてくれるため、運用コストも抑えられます。
ユーザーは、インターネット環境を用意するだけで、ベンダー企業のサーバにアクセスすることで、データやクラウドサービスにアクセスできます。クラウドコンピューティングはインターネット環境があればどこの場所からもアクセスできるため、リモートワークにおいて重宝されています。
参考出典:
総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 企業におけるクラウドサービスの利用動向
2.クラウドコンピューティングのサービスモデル

この章ではクラウドコンピューティングのサービスモデル3点について考察していきます。
・SaaS(Software as a Service)
SaaSとは、インターネット経由でプロバイダであるベンダー企業が管理するアプリケーションすべてを、WEBブラウザ上で提供するサービスのことです。インターネットを介してサービスを提供してくれるため、ユーザーが自分のパソコンにソフトウェアをインストールする必要はありません。また、SaaSが提供してくれるアプリケーションは複数のユーザーで共有されます。具体的な例を挙げると、業務システム(Salesforce、Google Workspace、ServiceNow)やWEBメール(Gmail)などがあります。
クラウドサービスなのでインターネット回線をだけ用意すれば、SaaSを活用できます。つまり、ユーザーは自分でソフトウェアをインストールしたり、メンテナンスをする必要が無いので、初期費用である導入コストを少なくできます。
SaaSにおいては、プロバイダがメンテナンスやアプリケーションの開発、アップデートを行っています。ですので、自社で改良できる部分が少ないのがデメリットになります。そのため、SaaSを利用する企業は、ニーズをよく見極めてから製品選びを行う必要があります。他にSaaSを活用する利点としては、大勢のユーザーが同時にアクセス可能、インターネット経由でどこにいてもアクセス可能だという利点が挙げられます。
・PaaS(Platform as a Service)
PaaSとは、プロバイダが自社のインフラ上で、アプリケーション開発に必要なソフトウェアとハードウェアを提供して、出来上がったプラットフォームをインターネット上でユーザーに提供するサービスのことです。PaaSが必要な環境整備を行ってくれるので、開発者はプラットフォームなどの提供を効率的に受けることができます。だからこそ、開発者はアプリケーションの開発、デプロイ、テスト、管理、運用、更新を効率的に行うことができます。ですので、ユーザーは独自のアプリケーションの開発や運用が行えます。PaaSの代表的なサービスとしては、HerokuやGoogle App Engineがあります。
・IaaS(Infrastructure as a Service)
IaaSは、サーバ、ハードウェア、ネットワーク、ストレージなどの基本的なITインフラを、プロバイダが提供するクラウドコンピューティングです。それだけでは足りないので、ユーザー自分で用意して運用しなければならないものとしては、オペレーティングシステム、データ、ミドルウェア、アプリケーションなどがあります。IaaSの代表的な具体例としては、Google Compute EngineやAmazon EC2が挙げられます。
参考出典:
総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和3年版 > 企業におけるクラウドサービスの利用動向
3.クラウドコンピューティングの種類

この章では、クラウドコンピューティングの種類についてみていきます。
・パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、インターネットを通じて、全てのサービスがユーザーに提供されるクラウドコンピューティングのことです。ここで言うすべてのサービスとは、プロバイダであるベンダー企業が所有・管理をしているITインフラやリソースのことです。パブリッククラウドでは、ベンダー企業がシステムのメンテナンスやアップデートを行う義務があります。これにより、ユーザーはサービスを利用する分だけ料金を払うので導入コストを低く抑えることができるのです。
パブリッククラウドでは、ベンダー企業による高度なセキュリティ管理体制がとられているので、ユーザーも安心して利用できます。
・プライベートクラウド
プライベートクラウドは、ベンダー企業が提供する特定のユーザー組織専用のITインフラであり、そのユーザー組織が独占して使用するものです。ユーザー組織専用のプライベートネットワーク上で、サービスとインフラが維持されます。そのため、大きな特徴としては、プライベートクラウドの環境下では、ユーザー組織専用のニーズに対応させるシステムへとカスタマイズしやすいことが挙げられます。プライベートクラウドは、ユーザー組織専用の環境ですので、セキュリティ管理やデータプライバシーが万全であると言えます。専用の環境が割り当てられるため、それを構築、維持するコストが高くなるのは仕方がないと言えるでしょう。他には、ユーザー組織がITインフラを設定して、維持管理を行わなければならないので、専門的なスキルを持った人材を用意しなければなりません。
・ハイブリットクラウド
ハイブリットクラウドとは、狭義ではパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合せたクラウドサービスのことです。広義ではパブリッククラウドと従来型のオンプレミスのITインフラを組み合わせたクラウドサービスのことです。
ユーザー組織は、ハイブリットクラウドを選択した場合には、パブリッククラウドとプライベートクラウドを行ったり来たりすることができます。このハイブリットクラウドの利点としては、一般的なビジネスアプリなどは低コストのパブリッククラウド上で実行して、重要なデータやアプリはコストが高いプライベートクラウド上で保護するという2段構えの体制を摂ることが可能になります。ただし、この2段構えの使い分けが必要になってくるので、維持管理が大変になるとの点も指摘できます。
参考出典:
4.クラウドコンピューティングのメリット

・導入コストを低くできる
クラウドコンピューティングにおいては、プロバイダであるベンダー企業がITインフラの構築を行うため、ユーザー組織は初期投資を最小限にすることが可能となります。また、情報資源を使用した分だけ支払いが生ずる「ペイ・アズ・ユー・ゴー」のモデルを利用した場合、余分なコストをカットすることができます。ですので、ユーザー組織は、オンプレミスとは違い、特別なハードウェアなどを用意する必要がなく、インターネットの環境さえ整えればクラウドコンピューティングを使用できます。すなわち、昨今の新型コロナウイルス禍でポピュラーになったリモートワークにおいては、最適な仕事環境を低コストで実現することができるのです。
・スケーラビリティがある
クラウドコンピューティングは、従来のオンプレミスとは違い、ユーザー組織が業務拡張していく際にはスケーラビリティがあるので、料金さえ支払えば瞬時に拡大した業務の需要を満たすことができます。すなわち、より上位のプランを契約することで自社が用意しなければならないオンプレミスより、低コストでストレージ容量などを拡大できます。また、機能を追加する場合には、より上位のプランを契約したり、ハイブリットクラウドを使用すれば、業務を柔軟に遂行することができます。
・災害やデータの持ち出しに強い
クラウドに情報を格納しているため、自然災害や停電などの機器が生じてもバックアップ保存されているため損害を被ることはありません。また、クラウドを活用したリモートワークを導入している場合には、インターネットの復旧とデバイスが無事ならば、すぐに業務に取り掛かれます。
また、クラウドにある個人データの持ち出しが、クラウド上で管理されているためログインできない外部の人間にはできません。また、ログインできる内部の人間の場合は、だれが持ち出ししたかは、ログを調べれば一発で分かります。このようにクラウドコンピューティングは犯罪抑制にもつながります。
参考出典:
5.クラウドコンピューティングのデメリット

・クラウドサービスへの依存
クラウドコンピューティングの環境下では、インターネット接続という大前提があります。インターネットに接続するためのデバイスに不具合が生じたり、通信障害が発生した場合には、クラウドサービスにアクセスできなくなります。
また、プロバイダであるベンダー企業のクラウドサービスが停止した場合には、復旧まで使用できないというデメリットがあります。
・データセキュリティ
クラウドコンピューティングは、クラウドというインターネット上で、企業・個人のデータが保存されています。インターネット上にあるということは常にサイバー攻撃の対象になりうるという不安もあります。そのため、プロバイダであるベンダー企業は、常に不正アクセスやデータ漏洩に対する防御手段を講じなければなりません。その対策には、データの暗号化、二要素認証、エンドポイントの保護などが挙げられます。
参考出典:
6.クラウドコンピューティングの3大クラウドサービス

・Microsoft Azure
Microsoft Azureは、Microsoft社が提供するクラウドサービスです。公式サイトによれば、Azure は、包括的で信頼性の高いクラウド プラットフォームであり、インフラストラクチャ、データ、分析、AI ソリューションをすべて 1 カ所で効率的に管理できるように設計されています。Microsoft Azureは、クラウドの種類としては、PaaSまたはIaaSに該当します。Microsoft Azureの強みは『Microsoft社』が提供している「Office365」との連携がなされていることが挙げられます。また、Microsoft Azureは「SharePoint」というファイル共有・情報共有するアプリケーションとの連携・移行が行いやすいことも特徴です。
・Google Cloud Platform(GCP)
Google Cloud PlatformはGoogleが提供するクラウドサービスです。公式サイトによれば、生成 AI による構築、アプリの迅速なデプロイ、数秒でのデータ分析など、すべて Google レベルのセキュリティを備えています。また、小売業の商品検出の性能向上から、銀行での不正行為の検出まで、Google の業界別ソリューションがお客様の最大の課題を解決します。との説明がなされています。クラウドサービスの種類としてはPaaSに分類されます。AEON RETAIL、トヨタ自動車、カプコン、日本テレビなど多数の企業が活用しています。
・Amazon Web Service (AWS)
Amazon Web ServicesはAmazonが提供するクラウドサービスです。公式サイトによれば、Amazon Web Servicesには、コンピューティング、ストレージ、データベースなどのインフラストラクチャテクノロジーから機械学習、AI、データレイクと分析、IoT などの最新鋭のテクノロジーに至るまで、他のどのクラウドプロバイダよりもはるかに多くのサービスを提供しており、それぞれのサービスが豊富な機能(200以上のサービス)を備えています。との説明なされています。クラウドサービスの種類としては、SaaSも含まれますが、基本的にはエンドユーザー向けというよりも、開発者向けのPaaS、IaaSというクラウドサービスになります。Amazon Web Servicesはセキュリティ管理のレベルが高く、機密レベルが求められる銀行や軍隊にもなどにも使用されています。具体的な導入例としては、ネットフリックス、コカ・コーラ、BMWなどが挙げられます。
参考出典:
まとめ

今回の記事では、1.クラウドコンピューティングとは、2.クラウドコンピューティングのサービスモデル、3.クラウドコンピューティングの種類、4.クラウドコンピューティングのメリット、5.クラウドコンピューティングのデメリット、6.クラウドコンピューティングの3大クラウドサービスについて考察してきました。クラウドコンピューティングでは、使用した分だけ払うため初期投資が少なくて済みます。つまりベンチャー企業でも採用しやすい画期的なサービスだと言えるでしょう。また、クラウド上にデータを格納するので、リモートワークにも最適なサービスだと言えるでしょう。最後までお読みいただいてありがとうございました。