目次
はじめに
今回の記事では、「2025年注目されるべき最新WEB技術トレンド4選」について考察していきます。具体的には、毎年Gartner社が発表する今年のトレンドテクノロジーから2つの技術、①偽情報対策とセキュリティ保護、②空間コンピューティングをご紹介していきます。また、咲くキャリ情報局が注目している技術である2つの技術、③多機能型スマート・ロボット、④AGI(汎用人工知能)についてもみていきます。
2.1 偽情報対策とセキュリティ保護

偽情報には、大きく分けてフェイクニュース、デマの2つがあります。
・フェイクニュース
フェイクニュースとは、悪意を持って捏造された偽情報のニュース記事のことです。主に、偽のニュースサイトやSNSアカウントから拡散されて世の中を混乱に貶めている情報のことを指します。Meltwaterの分類によると、広義的にはミスインフォメーション(Misinformation)、ディスインフォメーション(Disinformation)、マルインフォメーション(Malinformation)が含まれます。
①ミスインフォメーション(Misinformation)
事実を誤って伝えるが悪意はない情報
②ディスインフォメーション(Disinformation)
特定の目的のために悪意を持って作られ、拡散される虚偽の情報
③マルインフォメーション(Malinformation)
真実であっても悪意を持って使用される情報
・デマ
デマとは、デマゴギーの略で、特定の対象に対して扇動的に、根拠がないうわさや虚偽の情報を流すことです。政治的なデマや災害時におけるデマなど、社会的なパニックを引き起こす目的であることが多いです。
このフェイクニュースやデマに対する対抗策としては、新しいセキュリティ対策が不可欠となっています。それは下記のとおりです。
・ファクトチェック
ファクトチェックとは、ニュースサイトやSNSやブログなどで公開している情報が正しいものかを確認することです。情報の裏付けを取り、真偽を確かめるために、日本では「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」と「日本ファクトチェックセンター(JFC)」が主に情報の真偽をチェックしています。
・プラットフォーム側の対策
情報交換の場であるニュースサイトやSNSにおいても、プラットフォーム側が偽情報に対する対抗策を講じています。例えば、信頼性の高い情報から優先的に表示するアルゴリズムの導入や、怪しい情報を警告する機能の付加などが挙げられます。
・機械学習とAI
機械学習やAIが進化するにつれて、過去のニュース記事やSNS投稿などといった膨大な情報を学習する事により、偽の情報を検出することができるようになりました。
・対抗ツールの研究
ディープフェイクなどに対抗するためツールの研究も進められています。具体的なツールとしては、Microsoft社のVideo Authenticator、Sensity社のDEEPFAKE DETECTIONが挙げられます。
・個人が偽情報に騙されないためにできること
個人が偽情報に騙されないためには、①情報の発信者の身元を確認する、②ファクトチェックサイトを活用する、③最新の情報かどうかを確認する、④複数の情報源を比較するなどの対策が挙げられます。
①情報の発信者の身元を確認する
今見ている情報がフェイクニュースかもしれないと感じたら、情報の発信者の身元が公式機関のものかを確認しましょう。すなわち、公式のサイトが情報発信元かどうかを確認したり、SNSだったら例えばXでしたらX(Twitter)公式マーク/認証バッジがついているかどうかの確認をしましょう。
②ファクトチェックサイトを活用する
何か怪しい情報のような気がすると思ったら、ファクトチェックサイトを活用しましょう。日本では「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」と「日本ファクトチェックセンター(JFC)」の2つの機関があります。
③最新の情報かどうかを確認する
古い情報を見ることで誤った認識を抱いている恐れもあります。特に昨今ではネットの普及により社会情勢の変化が著しいです。自分が見ているサイトの更新日時をチェックして誤った認識を持たないようにしましょう。
④複数の情報源を比較する
何か怪しい情報のような気がすると思ったら、ネットサーフィンをして複数のサイトやSNSで同じ情報が流れていないかを確認しましょう。
前回の記事で、「ゼロトラストセキュリティとは」について考察しました。このゼロトラストセキュリティとは、全てのアクセスを信用しないで、全てチェックをしていって安全性を確認するという概念でした。インターネット上にはびこっている偽情報を回避するためには、このような概念を持つのも1つの対策になるかもしれません。
参考出典:
2.2 空間コンピューティング

・定義
空間コンピューティングとは2003年にサイモン・グリーンウォルド氏が書いた論文を基礎とした概念のことです。この論文の中で、サイモン・グリーンウォルド氏は、空間コンピューティングとは「人間と機械の相互作用(インタラクション)であり、機械は現実の物体や空間への参照・保持・操作すること」と主張されていらっしゃいます。
この概念をわかりやすく説明すると、空間コンピューティングとは、現実の物理空間とデジタル空間をシームレスに統合して、人間がバーチャル空間において操作したり触れたりできるデジタル技術のことです。
空間コンピューティングのデジタル技術は、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、カメラ、センサー技術、ディスプレイ技術、ネットワーク技術を複数組み合わせて、デバイスを用いてバーチャル空間を作り上げて実現するものです。
・空間コンピューティングの具体例
空間コンピューティングの具体例としては、①ゲーム分野、②医療分野、③教育分野、④ビジネス分野、⑤エンターテインメント分野の業界で実際に導入されています。
①ゲーム分野
VRゲーム
②医療分野
遠隔診療による治療、外科手術のシュミュレーション、リハビリテーション
③教育分野
遠隔教育、仮想空間内での科学の授業における安心安全な化学実験
④ビジネス分野
リモートワーク時の仮想オフィス、仮想空間での商品の試着
⑤エンターテインメント分野
仮想空間を活用したバーチャルコンサート
参考出典:
サイモン・グリーンウォルド[Spatial Computing]
2.3 多機能型スマート・ロボット

・定義
Gartner社の定義によると、スマート・ロボットとは、人工知能(AI)を搭載し、自律移動が可能なマシンであることが多く、1つ以上の物理的タスクを自律的に実行するよう設計されたものです。これらのロボットは、機械学習(ML)によって将来の活動を最適化していくロボットのことです。
・多機能型スマート・ロボットの具体例
①自律多機能型ロボットDONKEY(仮称)(スマート農業ロボットCP200)や、
②自律走行型多目的ロボット「temi」とコミュニケーションツール「Buddy Bot」のジョイント事業などが挙げられます。
・自律多機能型ロボットDONKEY(仮称)(スマート農業ロボットCP200)
農薬散布、収穫物を軽量(最大荷重200KG)して倉庫に運ぶ、人工衛星を活用したデータベースづくり(同じ畑の中での収穫量の違いや、質の違いの把握)、人間の移動先に自動追従、自ら軽トラックに乗車などの多機能があります。
・自律走行型多目的ロボット「temi」とコミュニケーションツール「Buddy Bot」のジョイント事業
患者の急な病状悪化時に、医師や看護師にリアルタイムで映像を送信、収納容器装着による書類や医薬品などの軽量物搬送、熱感知センサーと連動して病院内での発熱者に対する声かけや指定隔離場所への誘導、感染症病室での遠隔回診による感染リスクの軽減などが挙げられます。
参考出典:
2.4 AGI(汎用人工知能)

・定義
汎用人工知能(AGI)とは、Artificial General Intelligenceの略称です。すなわち、汎用性と自律性を持つ人工知能のことです。ここで言う自律性とは人間の指示を待たずに、人間と同じように自ら学習を積み重ねて、多分野の問題解決することを指します。
・AGIとAIとの違い
AIとは、人間の指示に基づき、単一のタスクを高精度で達成するのが特徴です。一方、AGIは自主的な学習に基づいた幅広い知識とスキルを兼ね備え、異なる種類のタスクを柔軟にこなし、自身の判断で学習や推論を行い、タスクをこなしていくのが特徴です。
・AGIのメリット
AGIのメリットとは、事前に機械学習を設けなくても、人間のように広範なタスクを理解し、人間と同じ様に、自律的に問題解決ができるようになることです。
・AGIのデメリット
AGIのデメリットとは、1つめはAGIが活躍するためには複数の法律を成立させなければならないという困難さのことです。具体的には、労働法の見直し、知的財産権の保護、データプライバシー保護などが挙げられます。2つめのデメリットは、AGIの普及によって多くの仕事がオートメーション化されると、人間が失業したり、職種の変化に対応しならないことです。
参考出典:
まとめ

この記事では、「2025年に注目されるべき最新WEB技術トレンド4選」について考察してきました。具体的には、①偽情報対策とセキュリティ保護、②空間コンピューティング、③多機能型スマート・ロボット、④AGI(汎用人工知能)についてみてきました。この4つが進化していけば、私たちの暮らしも未来型のライフスタイルを歩むことになります。ただし、偽情報などに対してのセキュリティ保護も必要となります。
このセキュリティ保護は、安心・安全な未来型のライフスタイルを確立していくために技術面、法制度面などで行われる必要があると言えるでしょう。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。