はじめに
いつもご愛読いただきありがとうございます。今回の記事では、
1.2025年のITエンジニア転職市場が熱い
2.目標とすべき高収入の職種5選
3.これから需要が高まる技術スキル5選
について詳しく考察していきたいと思います。最後までお付き合いいただければ幸いです。
1.2025年のITエンジニア転職市場が熱い

今、IT業界は「2025年の崖」という問題に直面しています。これは、レガシーシステム(古くなったITシステム)が、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の障害となり、IT業界全体で毎年最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘されている問題です。このレガシーシステムの刷新のために、優秀なITエンジニア人材の確保が重要視されています。
また、下記の技術に注目が集まっています。
①IoT(Internet of Things(モノのインターネット))
IoTとは、「モノ」がインターネットにつながることで、オンデマンドで相互に情報をやり取りする仕組みのことです。具体例としてはスマート家電が良い例です。
②AI(Artificial Intelligence(人工知能))
AIとは「人間の知能を、コンピューターを用いて人工的に再現したもの」のことです。自然言語処理、音声認識、予測・異常検知、画像認識などが行えます。
③メタバース(インターネット上に構築された三次元の仮想空間)
メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことです。三次元の仮想空間内で、アバターと言われる自分の分身を用いて、ゲームや様々な活動、体験を行うことができるものです。
④ブロックチェーン(Blockchain(分散型台帳技術))
取引情報やデータを「ブロック」という1単位でまとめ、そのブロックを「チェーン」のように繋げていく技術のことです。これにより、データの改ざん、破壊が極めて困難になり、障害によって停止する可能性が低いシステムになっています。具体例としては、電子投票システムや地域通貨プラットフォームなどが挙げられます。
こういった最新技術の台頭により、これら4つを扱えるエンジニアの需要も高まっています。
このような背景から、ITエンジニアは「供給が追い付かない」状態に陥っているので、IT企業はITエンジニアの人材育成を行っています。それでもITエンジニアの数は需要に追い付いていません。そこでIT企業は高い報酬や福利厚生をしっかり行うことで、優秀なエンジニアの確保に努めています。
参考出典:
2.目標とすべき高収入の職種4選

この章では、目標とすべき高収入の職種4選について詳しく考察していきたいと思います。
・SaaS開発エンジニア
「SaaS」とは「Software as a Service」の略で、「クラウド上で顧客に提供されるアプリケーション」のことです。SaaS開発エンジニアはクラウドエンジニアの1種です。おおよその年収は600万円以上です。主な仕事内容としては、①バックエンド開発、②フロントエンド開発、③アプリ開発があります。
①バックエンド開発
ユーザーの目に見えない部分の開発のことです。具体的にはセキュリティに不具合が起きた場合の修正や新機能の追加、保守・保存などが挙げられます。必要なスキルとしては、PHPやRuby、Python、セキュリティやデータの整合性を保つことなどが挙げられます。
②フロントエンド開発
ユーザーの目に見える部分の開発のことです。具体的にはデザインやユーザーが使うボタンやフォームなどの設計を行います。必要なスキルとしては、UI/UX設計の理解、JavaScript/TypeScript、React、Node.jsなどが挙げられます。
③アプリ開発
SaaS開発エンジニアは、アプリの開発も行います。アプリ開発ではユーザーのニーズを満たすために、フロントエンドのUI設計なども行います。また、アプリ開発のために、新技術のキャッチアップや、流行トレンドの把握など常にレベルアップをすることが求められます。
・クラウドエンジニア
クラウドエンジニアはクラウドサービスを活用してITインフラを整備するために、システム設計、構築、運用などを担当するエンジニアのことです。おおよその年収は700万円以上です。主な仕事内容としては、①インフラ設計、②クラウド環境の構築、③システムの保守・運用が挙げられます。必要なスキルとしては、AWS / Azure / GCP 認定資格、CI/CDパイプライン構築スキル、Docker, Kubernetes, Terraformが挙げられます。
①インフラ設計
クラウドサービスを使ってITインフラを設計します。具体的には、ネットワークの整備、クラウド上のサーバー設計・構築を行い、現場のサポートをします。
②クラウド環境の構築
仮想環境上のクラウド環境を構築し運用するため、クラウドサービスを使ったシステムの構築も行います。
③システムの保守・運用
クラウドシステムの構築が完了してからの保守、運用もクラウドエンジニアが行います。
・セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報セキュリティの専門家としてセキュリティ業務に特化したエンジニアのことです。情報セキュリティを守るために、システム開発や構築、システムの運用・保守を行ったり、サイバー攻撃を未然に防ぐためにセキュリティの脆弱性を発見したり、従業員に対するセキュリティ講習などを行います。おおよその年収は550万円以上です。主な仕事内容としては、①企画・提案、②設計、③実装、④テスト、⑤運用・保守です。必要なスキルとしては、情報処理安全確保支援士、CISSP、ネットワーク・サーバのセキュリティ知識、SIEM、EDR、WAFなどのツール運用経験が挙げられます。
①企画・提案
クライアントなどから要件をヒアリングして、セキュリティを確保するために、ソフト面ではソフトウェアやアプリケーション、ハード面ではITデバイスを選択して、企画を提案していくのがセキュリティエンジニアの仕事です。
②設計
システム設計・構築もセキュリティエンジニアの仕事の1つです。システム設計・構築に際して、セキュリティ確保の観点から必要だと思われる要件(ITデバイス、ネットワーク、運用形態など)を調べだして、設計書を作成していきます。近年ではデータをクラウド上で管理しているケースが多いので、クラウドの知識や経験が求められます。
③実装
設計書に基づき、他のエンジニアと協力しながら、プログラミング、セキュアプログラミング、OSの設定、ネットワーク機器の設定、機器のマウンティング業、暗号や認証の設定、コンフィグ作業、アクセス権設定などの実装作業を行っていきます。
④テスト
セキュリティ評価をするために、脆弱性診断と言われるテストを行うのも仕事の1つです。具体的には、実際にシステムを実行して、潜在的な脆弱性を見抜くために疑似的なサイバー攻撃を行ったり、ソースコードをチェックします。万が一、脆弱性を発見した場合には、セキュリティ対策を強化します。
⑤運用・保守
システム導入後の保守・運用業務も仕事の1つです。具体的には、アプリケーションやOSのセキュリティアップデート、アクセス権の管理、サイバー攻撃からの保護、ログファイルのチェックや保存、通信データの監視などが挙げられます。サイバー攻撃を受けた時に適切な対応を取るために、セキュリティエンジニアは、情報セキュリティに関する最新情報に常にアンテナを張り、セキュリティアップデートを行っていく必要があります。
・Web3・ブロックチェーンエンジニア
ブロックチェーンエンジニアとは、ブロックチェーン(Blockchain(分散型台帳技術))の実装や開発をするエンジニアのことです。代表的な技術としては、ゲーム、仮想通貨、フィンテック(金融サービスと情報技術を組み合わせた新技術)などが挙げられます。おおよその年収は500万円以上です。主な仕事内容は①アプリケーションの開発、②ブロックチェーン技術の研究や開発、③決済サービスの開発、④新たなブロックチェーンの開発です。必要なスキルとしては、セキュアコーディングの知識、Ethereum、Solana等のプラットフォームの知識、Solidity、Rust、Smart Contract開発の経験などが挙げられます。
①アプリケーションの開発
ブロックチェーン技術を用いたアプリケーション開発も仕事の1つです。具体的には、通貨の送受金サービス、ペイメントサービス、不動産取引サービス、シェアリングサービスなどのアプリケーションが挙げられます
②ブロックチェーン技術の研究や開発
ブロックチェーン技術は、歴史が浅く、発展途上の余地がある技術のため、技術者による新技術開発のための研究も行われています。具体的には、アルゴリズムやセキュリティ分野などの発展途上の分野の研究が進められています。これらの研究をスムーズに行うためには、常に最新のブロックチェーン技術に関する情報に対してアンテナを張っておく必要があります。
③決済サービスの開発
電子マネーでの支払いを行う決済サービス、すなわちペイメントサービスの実装も仕事の1つです。具体的には電子マネーの開発やECサイトでの支払いなどが挙げられます。この技術により、従来では支払い手数料が発生するため難しいと言われていた少額決済(マイクロペイメント)も実現しました。
④新たなブロックチェーンの開発
クライアントの要望に応じた、新たなブロックチェーン開発も仕事の1つです。具体的には、特定の業界に特化した機能の追加、プライバシーの向上などを行って新たなブロックチェーン開発を行います。これは難易度が高く、ブロックチェーンに関する高い技術と深い知識が求められる業務です。
・AI・機械学習エンジニア
AI・機械学習エンジニアとは、機械学習(マシンラーニング)アルゴリズムの実装・運用・構築を担うエンジニアのことです。ここで言う機械学習(マシンラーニング)とは、AIの知能を向上させるために、命令やデータを与えて学習させることです。すなわち、AIを使用する用途・目的に合わせて機械学習アルゴリズムを構築することがAI・機械学習エンジニアの仕事となります。おおよその年収は500万円以上です。主な仕事内容は、①学習用データの準備・分析、②AI(人工知能)を用いたシステムの設計や開発、③機械学習プログラミングの構築・運用、④最先端テクノロジーの研究、⑤機械学習モデルの検討などが挙げられます。必要なスキルとしては、数理統計、データ解析力、深層学習の知識、プログラミング言語はPython, フレームワークではPyTorch, ライブラリはTensorFlow、更には、MLOps(AI・機械学習システムを実現するための手法や概念)が挙げられます。
①学習用データの準備・分析
AIが学習するためのデータを準備したり分析したりする仕事です。これにより、AIが膨大なデータを分析し、その法則やルール、パターンなどを記憶し特定の作業を実行させることができます。また、これらのデータの変数を変化させたりするのもAI・機械学習エンジニアの仕事の1つです。
②AI(人工知能)を用いたシステムの設計や開発
AI技術のうち、機械学習モデルを設計・開発して、AI(人工知能)を用いたシステムの設計や開発を行うのが仕事です。AIがユーザーの膨大なデータのルールやパターンを解析してより良いサービス向上にも活用することができます。
③機械学習プログラミングの構築・運用
特定の用途に合わせて、AIのアルゴリズムモデルを検討・作成をすることが仕事の1つです。具体的には、AIが膨大なデータを解析して、そのルールや法則、パターンを学習した特定の作業を行えるアルゴリズムのモデルを開発することです。
④最先端テクノロジーの調査・研究
機械学習分野に関する技術は、日進月歩で進化しています。ですので、AI・機械学習エンジニアは、日々最新の論文や著書を読んで、開発するテクノロジーに、その最新の知識を取り入れなければなりません。このように最先端テクノロジーの調査・研究することも仕事の1つです。
⑤機械学習モデルの訓練とテスト
機械学習プログラミングの構築も仕事の1つです。すなわち、用途に合わせた機械学習アルゴリズムのモデルの検討・開発を行います。また、システム構築後の運用も仕事の1つです。具体的には、プログラミングの完了の後は、サービス向上のための運用(エラーへの対処や定期的なメンテナンスなど)も行う必要があります。
参考出典:
3.これから需要が高まる技術スキル5選

この章では、これから需要が高まる技術スキル5選について詳しくみていきます。
・クラウドサービス適応力
(直し)日本のクラウド市場では、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)AWS(Amazon Web Services)、といった3大クラウドプラットフォームが企業に採用されています。ですので、これらを用いたシステム設計・構築、保守運用などをする能力が稼げるスキルとなっています。
・サイバーセキュリティ技術
サイバーセキュリティ技術の活用が不十分だと、マルウェアに感染する、不正アクセスされるなどのサイバー攻撃のリスクが発生します。これによるシステム停止や情報漏洩は、企業の存続にかかわるので、サイバーセキュリティ技術はこれからますます必要とされる技術です。
・UI/UXデザイン
ユーザーインターフェース(UI)では、単に機能を満たすだけでなく、ユーザー目線での、ユーザーの行動や感情に訴えかける設計・開発をできる技術が求められています。ですので、UI/UXデザインをユーザー目線で設計・開発できるエンジニアの価値は、今後ますます高まるでしょう。
・データサイエンス・データ分析力
AIを使用して膨大なデータの中から、意味のあるルールや法則、またはパターンを見つけ出すことで、問題解決の糸口にしたり、新たな価値の創造につなげることができるスキルです。ですので、データサイエンス・データ分析力はIT業界だけではなく、あらゆる業界や分野で求められている必要不可欠な技術です。
・プロジェクトマネジメント能力
プロジェクトマネジメントの基本とは、QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)を確実に守ることです。そのために必要なスキルは、①プロダクトオーナーやスクラムマスターとしての経験、②リーダーシップ、③コミュニケーション能力などが挙げられます。具体的な業務としては、品質・時間・コスト・リスク・スコープなどの要素を統合的に管理することで、プロジェクトを成功に導いていきます。
参考出典:
まとめ

この記事では、
1.2025年のITエンジニア転職市場が熱い
2.目標とすべき高収入の職種5選
3.これから需要が高まる技術スキル5選
について詳しく見てきました。この記事で学んだことは、リスキリングをして己の価値を高めていくことこそが、今後もITエンジニアが市場で生き残る最大の武器であると言えるでしょう。常に学び続けて、すなわち、いかなる変化にも対応できる人物像こそが、ITエンジニア市場が求める人材なのではないでしょうか。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。