はじめに

いつもご愛読ありがとうございます。咲くキャリ情報局です。今回は「生成AIとAIエージェントの違いとは」について記事を書かせていただきます。1.なぜ今、生成AI(ジェネレーティブAI)に注目が集まるのか、2.生成AIビジネス導入具体例、3.より未来のAIとは~生成AIとAIエージェントの違い~、4.AIエージェントのビジネス導入具体例、5.AIエージェントの種類について、各章ごとに詳しく考察させていただきます。最後までお読みいただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

1.なぜ今、生成AI(ジェネレーティブAI)に注目が集まるの

この章では、なぜ今、生成AI(ジェネレーティブAI)に注目が集まるのかを、IT業界を取り巻く背景や概念、新技術について触れていきます。

・2025年の崖

→2025年の崖とは、2025年前後において、業務で使われている既存のITシステムが、各企業において、ブラックボックス化・老朽化・複雑化・肥大化していくことを指します。それにより企業の競争力を低下させ、経済損失をもたらす問題のことです。これによる経済損失は年間12兆円にのぼると言われています。

・AIによってDX(Digital Transformation)が低コストで行えます。

→DX(Digital Transformation)とは、デジタル技術(ビッグデータ、AI、IOTなど)を用いて、変化し続ける市場に適応していくために、新たなビジネスを生み出したり、ビジネスプロセスを改良していくことです。具体的には下記のとおりです。

  • AIを活用すれば、ノーコード/ローコードで開発できるため、社内において多額の開発費用や専門知識を持つ従業員の確保という高額なコストが不要になります。
  • 定型業務、データ入力、ルーチン作業をAIで自動化して、コスト削減を図ります。
  • ビジネス意思決定の高速化のため、データ分析の民主化を行います。つまり、関係者全員がデータを見られるようにすることで、各人が自らの権限の及ぶ範囲での意思決定を行うため、ビジネスにおける意思決定が高速化でき、時間の節約につながります。

・オーセンティックインテリジェンスとは

→生成AIのハルシネーションを起こさせないために生成AIの能力に人間の判断力を組み合わせる概念を指します。つまり、プロンプトに創造性や批判的思考などを加えることで、最適解を生み出すために必要不可欠な要素だと言えます。人間の判断力を生成AIに学習させることで、ハルシネーションを防ぐことができ、より実用性の高い生成AIへと進化を遂げることができます。

深層学習(ディープラーニング)で新しいコンテンツを生み出すことができます。

→深層学習(ディープラーニング)とは、人間の頭脳回路を模したニューラルネットワークの計算モデルの1つです。機械学習の手法の1つでもあります。①入力層、②隠れ層、③出力層で構成されています。外部からのデータを入力層が受け取り、隠れ層が情報を処理してラベリングを行い、そして出力層が結果を出します。この深層学習(ディープラーニング)では、①音声認識、②文章認識(自然言語処理)、③画像認識ができるので、これらの能力を用いて新しいコンテンツを生み出すことができます。

参考出典:

note

DSK株式会社電算システム

アガルートアカデミー

SystemK AI

Wikipedia

Wikipedia

DATA VIZ LAB

MAG BOXIL

HELP YOU

「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」「DXレポート2(中間取りまとめ)」「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」、「DXレポート2.2(概要)」

2.生成AIのビジネス導入具体例

この章では、生成AIのビジネス導入具体例を見ていきたいと思います。

国立がん研究センター

→国立がん研究センターでは、AIのデータ学習機能を活用して、内視鏡画像をAIに解析・診断させて画像の検知・分類・識別などを行っています。具体的には25万枚の大腸がん/前がん病変の内視鏡画像を学習させたところ、消化器系のがんの早期発見につなげることが可能になりました。このような医療AIは、今まで医師によって、つい見落としてしまうようながんの兆候などに気づくことができるようになりました。

三井住友海上火災保険

→「MS1 Brain」というAIがパーソナライズした保険で成約率が3倍になりました。この「MS1 Brain」とは、日本全国で約3万8000の保険代理店の営業支援をAIで行う仕組みのことです。また、「dotData」を採用することで、データサイエンティストが少ない中でも、AIモデルの精度を維持することが可能となりました。

東急リバブル

→AIにより所有不動産の価格を簡単査定する「スピードAI査定」を発表しました。この「スピードAI査定」の特長は、顧客が用意されているフォームに、マンション名、何号室か、などの項目を登録することにより、その場でAIが査定価格を出してくれるというシステムです。不動産会社に赴かなくても、不動産市場における、ざっとした相場感がわかるので忙しい現代人にはありがたいシステムとなっています。

戸田建設

→AIと防犯カメラを活用して、戸田建設とアジラ株式会社は、成仁病院において、警備システム『AI Security asilla(通称asilla)』の実証実験を開始しました。このasillaは医療現場における患者様見守り型のシステムで、防犯カメラ30台で患者様の自傷行為や他害行為、転倒など様々なリスクを事象発生1秒後には感知できるシステムです。これにより、院内の見守りの看護師さんたちの人員不足を解消できます。事象発生1秒後には、行動認識AIが被写体を解析して、PCモニターにおけるポップアップ、様々なツールへのメール、パトランプなどで通知をしてくれます。

江戸川区役所

→江戸川区役所では、AIを用いてルーチン業務である各種行政手続き、申し込みなどの電子申請(オンライン)化を実現しました。また、fintechを用いたキャッシュレス対応を、税金、介護保険料、国民保険料、証明書等の手数料、施設使用料(一部)まで拡大しました。

参考出典:

DX総研

日経XTECH

JAPAN Innovation Review

dotData

3.より未来のAIとは ~生成AIとAIエージェントの違い~

・生成AIの特長

→ディープラーニングや機械学習を生かして、プロンプトという命令に基づき、新しいコンテンツ(画像、動画、テキスト、音声)を生み出します。つまり生成AIは「知的生産物を増やして、より良い表現を生み出す」システムだと言えるでしょう。生成AIはプロンプト無しでは行動しません。

・AIエージェントの特長

→命令を受けなくても自律的にデータ収集・分析・意思決定・行動などをしてタスクを遂行します。すなわち、トレンドの把握やリスクの把握といった環境認識と、自律的な意思決定により、掲げている目的遂行のための問題解決法を新たに生み出すのがAIエージェントの特長だと言えるでしょう。

参考出典:

MiraLab AI

Cotra

スマート書記

4.AIエージェントのビジネス導入具体例

この章では、AIエージェントのビジネス導入具体事例を見ていきたいと思います。

AIエージェントのビジネス導入例は、AIエージェントナビによれば、ヤマト運輸の「ロジくん」、KDDIの「議事録パックン」、三菱UFJフィナンシャルグループの「MUFG版ChatGPT」、ウォルマートの「取引先交渉AI」などがあります。また、joootによれば、日産自動車株式会社の「DX Suite」、トヨタ自動車株式会社の「OーBeya」があります。AIエージェントは新しい技術のため、今後様々な業界に波及していくと思われます。

参考出典:

スマート書記

AIエージェントナビ

AI LAB

jooto

5.AIエージェントの種類

この章では、AIエージェントの種類についてみていきます。

・学習型エージェント

→過去の出来事から経験を積むことで学習をして、自ら将来的な行動の最適解を求めるエージェントです。自ら自律性を持ち、多くの学習を続けていくので、環境からのフィードバックを受けることができて、時間が経過するにあたって性能が進化していくという特徴があります。デメリットとしては、学習するデータの量や質により結果が左右されるというマイナス面もあります。

・目標ベースエージェント

→あらかじめ設定された「目標達成」をするため、どうすればゴールに近づけるかを判断し、与えられた過去の選択肢などの中から、目標達成のための行動の流れを推測して、自律的に最適解を選択していくシステムのことです。カーナビゲーションシステムなどで使用されています。

・効用ベースエージェント

→目的を達成することが目的ではなく、効用すなわち利益や満足度を最大化するための行動を行うエージェントです。従来の目標ベースエージェントを進化させたエージェントになります。目標ベースエージェントよりも、より多くの複雑な意思決定ができるので、学習していく中で経験した複数の選択肢や評価基準から、最も効果的だと考えられる最適な行動をとることができます。

・単純反射エージェント

→事前に定義づけされた情報を一致するルールに基づいて行動するエージェントです。過去のデータは学習しません。

・モデル反射エージェント

→与えられた環境の状態を内部モデルとして保持しているエージェントです。今の知覚と過去の経験を活用して、状況の変化に即した適切な行動を選択します。

・階層型エージェント

→段階が違う複数の層(レイヤー)が互いに協力し合いながら、タスクの最適解を求めていくというエージェントになります。上位エージェントが、下位エージェントにサブタスクを配布して割り振っていきます。また、上位エージェントが、独立した存在である下位エージェントから進捗・動作のレポートを受けて、定期的に提出された進捗レポートの分析を行います。

・マルチエージェント

→複数の自律的エージェントが連動して、より高度なタスクを遂行するシステムのことです。すなわち、1つ1つのAIエージェントが集まって、個々の目的などに対して最適解を選択しつつ、集団として大きなタスクを達成できます。

参考出典:

ルートテック

スマート書記

First Contact

AI総合研究所

Edge HUB

HBLAB

blastengine

CAT.AI

GETT Media DX/AI研

まとめ

この記事では、1. なぜ今、生成AI(ジェネレーティブAI)に注目が集まるのか、2. 生成AIビジネス導入具体例、3.より未来のAIとは~生成AIとAIエージェントの違い~、4.AIエージェントのビジネス導入具体例、5. AIエージェントの種類について考察してきました。AIから得たコンテンツを正しく活用するためには、技術力×人材力を武器とするために「組織文化の変革」が大事だと言えるでしょう。すなわち、AIから得た結果を正しく運用するためのIT人材教育こそが重要だと考えられるのではないでしょうか。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。