1.はじめに

いつもありがとうございます。咲くキャリ情報局です。

今回の記事特集に入る前に、みなさまに1つ質問させていただきたいです。

会社を辞めて名実ともにフリーランスになったと言えるのは、どういった段階からだとおもいますか?

咲くキャリ編集部では、下記の3つを「名実ともにフリーランスとなるための基準」としてご提案したいとおもいます。

①自分の名刺に「フリーランス○○」(例えば、フリーエンジニア、フリーランスライターなど)と記載して営業活動を始めた時

②フリーランスになるための行政手続き(開業届や個人事業主としての社会保険など)を終えた時

③営業活動や求人サイトでの努力が実り、初仕事を開始した時

この3つを満たした段階こそが、名実ともにフリーランスになったと言えるのではないでしょうか。

これを受けて、今回の記事では、この中の1つである「フリーランスになるための行政手続き」について詳しく特集していきたいとおもいます。

2.フリーランスになるための行政手続きとは

会社を辞めたあとに、役所(税務署)に開業届を提出して、初めて公的な立場でフリーランスになることができます。

また、その時に行っておくべき手続きとして、国民健康保険および国民年金があります。これは会社を辞める事で、社会保険から抜けてしまうので自分で手続きする必要があります。

これらの事柄について、この章で詳しくみていきましょう。

2.1開業届を提出

開業届とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。これは、「個人事業主として行うお仕事を、書類に書いた住所にておこなうための届け出書」のことです。こちらの書類は、税務署へ提出するものです。

(参考引用:国税庁HP>ホーム>税の情報・手続・>申告手続・用紙>申告・申請、届出等、用紙(手続の様式・案内)>税務手続の案内(税目別一覧)>申告所得税関係>[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続

また、開業届を税務署に提出する際には、同時に「所得税の青色申告承認申請書」も一緒に提出してしまいましょう。同時に提出すれば、よくわからない箇所も、窓口のスタッフの方に質問できます。

(参考引用:国税庁HP>ホーム>税の情報・手続・用紙>申告手続・用紙>申告・申請・届出等、用紙(手続の案内・様式)>税務手続の案内(税目別一覧)>所得税関係>[手続名]所得税の青色申告承認申請手続)

更には、2つの書類を同時に提出すると、提出し忘れるミスを防げます。そうすることで、経営年度1年目に青色申告が受けられないという悲惨な状況に陥らないで済みます。

ここでいう「青色申告」とは簡単に言うと「複式簿記を使って決算を終えると、電子申告のケースでは65万円、紙ベースでの申告の場合は55万円の控除を受けることができる制度」のことです。

このように、税務署へ「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出した後は、個人事業主として行政に宣言したことになります。ですので、自らの意識をプロフェッショナルへと切り替えていきましょう。

そもそも、個人事業主になるということは、通常の業務に加えて、営業・経理・総務などのお仕事もしなくてはなりません。ですので、経営年度末の確定申告に備えて、最低限、毎月末までには領収書は、勘定科目ごとに選別しておいた方が良いでしょう。

また、余談にはなります。女性の1人暮らしの方は開業届に記載の住所を自宅にはしない方が良いです。仕事場=自宅だとトラブルに巻き込まれる可能性がでてしまいます。また、残念ながら、そのような事件もいくつかあったそうです。

筆者も法人を1つ経営していますが、登記簿に記載した会社の住所を、複数の業者によりネットに無断転載されてしまいました。女性の1人暮らしと誤解されたみたいです。その結果、印鑑や名刺の業者をはじめ、多数の業者からの手紙や意味のない訪問などがありました。

その結果、開業1年目は嫌な思いばかりをしました。解決方法としては、実家が近い場合は、そちらの住所を記入することもできます。

また、シェアオフィスを借りて、そちらの住所を記入する方もいらっしゃるそうです。

現代は、コロナ禍の影響もあって、物騒な世の中になってきています。できる限り危機回避のアンテナ張っておいたほうが良いのではないでしょうか。

2.2 国民健康保険に加入

会社を退職時に、在籍時につくった健康保険証は会社に返納しなければなりません。

理由は、会社に在籍していることで、保険料の半分を会社が負担してくれていたからです。

ですので、会社を退職したら、フリーランスの方は、国民健康保険に加入するか、もしくは今まで会社で入っていた健康保険を2年任意継続する必要があります。

ここで注意したいことは、会社の退職時には何かと物入りだから、健康保険の加入手続きは必要ないと間違った判断をしてしまうことです。それは、すなわち、体調が悪くなってから加入しても遅くないと間違った認識を持ってしまっているからです。

筆者が以前アパレルメーカーの経理部に在籍していたころ、この間違った判断基準をもとにして、節約のために各種健康保険に数年加入しなかった人がいました。

しかしながら、実は、特に国民健康保険は多くの場合、税金です。未払い期間がある場合には、未払い分について、後から全て請求が来ます。

そして、この方が、筆者の勤める会社に入社した時は、年齢もアラフォーになっていました。

中年になったから、再度、国民健康保険に加入したところ、未払い分の過去10年分を払ってくださいと行政から連絡の書類が送られてきました。

また、その連絡書類には、過去10年分の支払いのために、給料の1部を差し押さえるとの記載もありました。ですので、結局、行政の指示の通りに、分割返済していくことになりました。

筆者は経理担当として、過去の分の国民健康保険の支払いでも社会保険料控除を受けられるので、忘れずに確定申告してくださいとしか言えませんでした。

ちなみに、健康保険の送付金額の詳細な基準は各市町村で異なります。居住自治体によっては、納付金額の差が大きくなる可能性もあります。

しかし、国民健康保険には、高額療養費、傷病手当金(加入者本人にだけ支給)、出産手当金(加入者本人にだけ支給)、埋葬費、ホテルの宿泊費の補助金などのおトクな制度もあります。

人生何が起こるかはわからない時代になってきました。今現在は、健康の方でも必ず「国民健康保険」もしくは「任継続での各種健康保険」の手続きは忘れないでください。

2.3 国民年金

日本国に住んでいる以上、必ず何らかの年金に加入する必要があります。この年金は大きく分類すると、厚生年金、国民年金、他には、各企業がやっている企業年金があります。

みなさんが会社員時代には、通常は厚生年金に加入されていました。会社を退職して個人事業主になると、厚生年金から国民年金の切り替え手続きが必要になります。

この国民年金に加入することで、年金受給開始年齢(その人が生まれた年に依存して決定されます)に達すると、国民年金を受け取ることができます。

また、この国民年金に支払った金額分は、社会保険料控除を受けられるので、必ず確定申告をしてください。

話題は変わりますが、現代は100歳まで生きる時代になったと言われます。

その上で、各種年金だけでは足りないので、老後に向けて資産運用などを銀行などがオススメしてくるようになりました。

国民年金を補うために、フリーランスの方は「小規模企業共済」に加入することもできます。

(参考引用:中小機構HP>ホーム>共済制度>小規模企業共済

これは中小機構が運営している共済で、小規模企業の経営者やフリーランスの方のための退職金制度になります。支払金額の全額に対して、社会保険料控除が受けられます。

更には、この支払った分のお金を担保として事業貸付を受ける事も可能です。

逆に、国民年金を基礎としたおトクな制度もいくつかあります。例えば、「付加年金」、「iDeCo」、「国民年金基金」などの制度です。

(参考引用:日本年金機構HP>トップページ>年金の制度・手続き>国民年金>国民年金の保険料>付加保険料の納付のご案内

(参考引用:iDeCo公式HP

(参考引用:国民年金基金HP

ただし、少子高齢化社会において、国民年金の支給額が減少傾向にあります。

ですので、咲くキャリ情報局としては、国民年金は支払ったうえでの資金運用としては、小規模企業共済への加入をオススメにしたいとおもいます。

普通に考えればフリーランスの方には定年がありません。老後の資金不足が怖いならば、70歳になっても80歳になっても働けばよいのです。

これこそが、フリーランスの方が持っている最大のメリットなのではないでしょうか。

2.4 番外編:合同会社を設立して社長になる

よく会社員をやめてフリーランスになると、収入が増えると言われています。

しかしながら、例えば社会保険料をはじめとした、福利厚生制度としての会社からの負担分が全てなくなります。

ですので、効果的に節税できないと、結果的に手取り金額が減ってしまいます。

だからこそ、いっそ、個人事業主ではなく合同会社などを設立して、「社長」になるのも1つの効果的な節税方法です。

それは、①:所得税ではなく法人税が課されるから、②:経費が認められやすいからなどの理由があるからです。

①所得税ではなく法人税が課されるから

①については、貯金が増えにくい原因の1つとして、所得税率が高すぎるという現実があります。

一方、法人税率は所得税率よりも低いのです。

ですので、法人化をすれば、同じ収入でも手取り額が増えるのです。加えて、合同会社の設立費用は10数万円で済みます。将来的な節税効果を狙うのならば、法人にすることをオススメいたします。

でも、法人税は会社が赤字の時でも、法人住民税を払わないといけないじゃないかという意見もあるとおもいます。

しかしながら、フリーランスの場合は、形のあるモノを作る様なお仕事でない業種に限りますが、赤字になることはあまり無いともいえるとおもいます。例えば、ライターやシステムエンジニア、プログラマのようにPCがあればできるようなお仕事の場合は、大規模な赤字になることは稀です。ですので、法人格を取得して、社長になることをオススメしたいとおもいます。

②経費が認められやすいから

法人格を取得して社長になることで、経費が認められやすいというメリットも存在します。

例えば、賃貸住宅に住んでいる場合には、その一部を社宅として扱うことができます。その上で、最大50%の割合で税務署に経費として申請可能です。

(詳しい社宅としての経費の割合や申請方法などについては、最寄りの税務署にご相談してください。または、法人の経理をお願いしている税理士事務所さんなどに相談するのも1つの手段です)

このように、法人格を取得することで、経費として認められる金額が増えていきます。

ですので、咲くキャリ情報局では、番外編として「法人格を取得して、社長になること」もオススメしたいとおもいます。

まとめ

この記事では「名実ともにフリーランスになるために」ということを特集させていただきました。

その1つの手段として、フリーランスになるための行政手続きについて詳しく述べていきました。

具体的には、開業届・所得税の青色申告承認申請書・国民健康保険・国民年金などの制度について注意点とともにみてきました。

また、番外編として、法人格を取得して社長になるのも1つの手段としてオススメさせていただきました。

フリーランスとしてお仕事をすれば自分の時間も自由に使うことが可能になります。

また、節税について自分で学んだり、税理士さんなどの専門家にお願いすれば、会社員時代よりも収入が増えるシステムとになっています。

だからこそ、自分自身での業務や節税に関する「かじ取り」が大切になってきます。

上手に「かじ取り」ができるように、諸々の情報を仕入れるアンテナをいつも張っておきましょう。

咲くキャリ情報局

咲くキャリ情報局とは、より良いキャリアを求めていく方に、現実的に役立つ情報を掲載しているWEBメディアです。